少し長いですが

2006年02月23日

斬影(補遺):暴走・・・(^^;

「斬影」、終わらせました。

>きっとね、面白いところが、ツボが、あるのだと思うんですよね。
by kairouさん

有難う御座います。 ツボ、ありません(爆)!!

>あと感じるのは、なんとなく陽気なカンジがする。漲ってるカンジ、、、
by 同上kairouさん

楽しくて、書きたくてたまらないものって、伝わるのかもしれません。
結果的には「満足いく失敗作」というところでしょうか?

書き上げてスグに自作について、というのはどうか?という考えもありましょうが、自分なりの復習を。続き、こちらにおります

斬影−春夏秋冬(3)

弥平が透春について、既に三年が過ぎようとしていた。
瀬津相手の稽古においても、彼は誠に謙虚で、師の透春すら感心を隠せなかった。
「お前を見ていると、本当に涼夏を想い出すよ。」
透春の漏らす言葉が、弥平には最高と言って良い誉め言葉であった。続き、こちらにおります

斬影−春夏秋冬(2)

弥生と弥平は六つ違いだそうである。
時に紅秋の元に遣いされたそうだが、弥平に会えば情が移ると言い、稽古姿を遠くから眺めるに留めていたという。

弥平の逐電以来のことは、この山中にも噂は届いており、その都度、弥生は甚く心を痛めていたらしい。
彼は、その話を聞いて耳まで真っ赤になった。続き、こちらにおります

斬影−春夏秋冬(1)

美しい星だった。
弥平は星に向って眼一杯に手を伸ばしていた。

途端に足場を崩した驚きに、彼は目覚めた。
既に明るさを取り戻した旅籠の部屋であった。続き、こちらにおります

2006年02月22日

斬影−砂州にて(2)

斜陽を受けて、美しい砂が燃えるように朱に染まっている。
整っていた砂州であったが、いまや荒々しい弥平の足跡を刻まれ、一部は地面を剥き出しにしている。
弥平が無我夢中になってより、既に相当の時間が経っている。続き、こちらにおります

斬影−砂州にて(1)

「待った、かな・・・?」
砂州に響いたのは猫が忍び歩いているのかと想うほど僅かで軽い足音であった。
弥平は圧された。
小柄な透春ではあるが、その足音は宙に浮いているのでは、とさえ想わされた。
(足元にも及ばぬ、とはこのことか・・・)続き、こちらにおります

斬影−封剣(4)

弥平の影が、長く、長く伸びている。

ボーッと目をやる先の剣は、夕陽に朱染めになっており、乾きつつある残り血は、既にドス黒く変色し始めていた。
(紅秋先生・・・)
弥平は、心の内で師の面影を必死に追い続けていた。続き、こちらにおります

2006年02月21日

斬影−封剣(3)

弥平が紅秋の大小を封じるのに、時間は必要としなかった。

弥平が旅し始めて一年と経たぬ、ある山越えの時のことである。
山裾で噂を耳にはしていたが、数名の賊に出くわした。
賊らにとってみれば、弥平も少し図体の大きい餓鬼でしかない。
金子も大して懐しているとは見えぬのに、絡んだのが彼らの不幸でもあった。続き、こちらにおります

斬影−封剣(2)

彼の師、紅秋が亡くなって後の弥平の逐電は早かった。

弥平には、実の両親の記憶はない。
山須紅秋は、弥平が物心付いた頃には、既に養父であった。
話せば洒脱だが、物静かで穏やかな空気をまとい、街中にあっても、とても武士には見えない。
加えて、ぶらりと散策に出るとて帯刀もしないような、そのような人であった。続き、こちらにおります

斬影−封剣(1)

足場の怪しい険しい岩場を、黒影が音も無く飛び交う。
居所を岩場に転じた大柄のムササビが、魔物と化したかのような身ごなしの主は、篠輔の言を頼りに進む弥平であった。
彼は大柄ではあったが、動きは決して鈍重ではない。続き、こちらにおります

2006年02月20日

斬影−剣に語らせよ(3)

木剣と言えど、彼らの域で交えれば骨が折れるに留まれば幸いである。
(一閃で勝負は決する。)
弥平は心してはいたが、その構えは、いわば無構えである。
無造作に持った剣先は道場の床に触れんばかりに垂れている。続き、こちらにおります

2006年02月19日

斬影−剣に語らせよ(2)

一晩は大人しくすることにした。
足を洗ううちにも日の暮れに急に辺りも暗くなり、すでに稽古を望むには遅過ぎると自制したこともある。
何よりも、多少の大言があっても、人の良さが滲み出る篠輔の笑顔が脳裏から離れなかった。

夕食を終えて一献入った篠輔は、弥平の話を聞くよりも、自らの剣術がいかに優れたものであるかをを巧みに話しに組み入れることに知恵を巡らせていた。
既に初老と言って差支えはない篠輔も大柄で、身の丈は優に六尺を超える弥平を見下ろすほどである。
袖まくりした腕は、さすがにそれなりの鍛錬を物語るが、弥平のそれとは違い、剣だけのための肉付きではない。
(強力のみで剣を語る、か。もっとも今の俺も大して変わらぬ身だが。)
弥平の唯一人の師は、子供のように小柄で非力な好々爺であったのである。
それでも、今の弥平にもやはり、師の剣の片鱗すら、見せる自信はなかった。続き、こちらにおります

斬影−剣に語らせよ(1)

美しい砂州であった。
一粒一粒の砂が、ここ数日、強さを増してきている陽の光を受けて眩く、目に痛いほどである。

見渡せば簡素も過ぎるほどの亘り二間少々の小庭に座して、砂の美しさを楽しんでいた。
(これだけの間があれば十分・・・過ぎるであろうな)
諦観して苦笑する弥平も、座主の力量は既に承知している。

左傍らの木剣は、弥平の自作のものである。
荒んだ剣の交わりばかりに付き合わせてきた。
(こいつも佳きものが見れれば本望だろう)

つい数日前の立会いで付いた傷が目に入った。
平素の通り・・・のはずが、意外や腕の立つ者であった。
彼の立会いは、古の書画を楽しんだ剣豪のそれとは異なる。続き、こちらにおります

斬影−庵に(3)

二階の部屋にしては足元は心地良く安定していた。
大小を部屋の奥側に横たえ、弥平は並んでゴロリと仰向けに天井を見つめた。
夜の準備を始めた階下の快活な様子が、僅かに開けてある襖の風に、早速に乗り行り始めてきた。
陽は既に大きく傾き、ピンと張られた障子も薄く朱色に染まり始めている。続き、こちらにおります

斬影−庵に(2)

(ふん・・・斬れぬ剣ほど喋るものよ・・・)

如何ほどの場数を越えてきたことか、見つめる弥平の手は節太く、剣術家というよりも野良仕事に明け暮れたもののようである。
しかし、ろくに剣も握らぬままに御託だけは大層な名人の数々が、この野良手の下に呻いたのも事実である。
その自負こそが、数日後に脂汗に変じることになったわけだが・・・続き、こちらにおります

斬影−庵に(1)

弥平の眼は動かなかった。動かせなかったのである。
座主の手の一方は脇息に、一方は腿に、不自然な自然さで置かれている。
対してより微動だにしない、その手が全てであった。
弥平の手も座主の一方の手と同じく腿にあるが、脂汗で腿と一体になったかのように張り付いている。
込み上げる震えを息で押さえ込むのが精一杯で、それでも大したものかもしれぬ。続き、こちらにおります

2005年01月16日

春、朧に猛り(4)

ゴロンと引っくり返っているうちに彼女は階下に走り降りていったのですが、追い掛ける力が出る間もないのです。
やがて何をしたのかも分からず、ただ無性に悪いことをした気がしまして、取り敢えずいつもと変わらないようになったアレを仕舞い込みまして、階下に下りて行ったのです。

元々、彼女と私の二人だった家中ですが、一言、彼女に謝ろうにも責め立てる様な静かさなのです。
なんだか無性に悲しい気持ちになりましたが仕方ありません。
そのまま黙って帰りました。

それ以来、彼女を見かけることはあっても、言葉を交わすこともなくなりました。
次の春、彼女は高校に進学し、その後どうなったのでしょうか。
私も、聞くこともなく過ごしたのでした。

後でそれなりの知識を得てみれば、なんということをしたのかと、辛い思いを抱くばかりです。
謝りたくても、謝る勇気さえないままで御座いましてね。
尤も、謝って済むようなものでは御座いません。
謝って済むような過ちではないのですよ。



謝って済まないような経験をしたことがある方もない方も。
以上はフィクションで御座いますので、御理解下さいポチ。

春、朧に猛り(3)

以下の文は、18歳未満の立ち入りを禁じます。
また、性的表現に抵抗のある方は読まないで下さい。
続き、こちらにおります

春、朧に猛り(2)

日頃かあいがって頂いているうちに、まぁ数歳上ということもあったのでしょう。
今になって想えば、数歳違うと言っても子供ながらに喧嘩三昧の小学生です。これでも上級生も一目置く暴れん坊だったりしますから腕力には覚えがあったわけですけれどね。
うちに来ないかという話になりまして、伺ったわけです。

当時、まだ残っていたちょっとした森。といっても、まぁ林に毛が生えた程度ではありますが、そこを抜けると突然にポツンと現れる素敵で不思議な感じのお宅でしたね。
伺った後に気付いたのですが、休みだったからでもありましょう、なんともいい香りを漂わせていらっしゃる。その香りにポヤッとしたまま床にストン、とですね。
女性の部屋など見たこともありやしません。珍しいやら何やら不思議な世界ですね、あれは。

彼女は大層に立派な勉強机を持ってらして、見たこともない優雅な風で椅子に軽くチョコンとです。人がこんなにも、かろく見えたのにはビックリしました。
招かれたと言っても大した話をした記憶はありません。私などには分からないようなレコードをかけてもらって、飲み物やら御菓子やらを薦められながら、ひたすら感心しておりました。

一杯に開いても蒸し暑い空気は変わらぬままなのに、大して汗もかいてない目の前の足が妙な感じでしたね。ただただ、いい香りは漂ってまして、不思議な暑さ加減でしたね。
自分が汗臭いのはいつものことでして、ちと気恥ずかしくはありましたが、そこはガキ大将を気取っておりました。



以下の文は、18歳未満の立ち入りを禁じます。
また、性的表現に抵抗のある方は読まないで下さい。
続き、こちらにおります

春、朧に猛り(1)

それはそれは蒸し暑い日でした。
今では考えられもせぬかもしれませぬが、そのような夏の日が、昔の日本にはあったのです。

周囲の田圃と言ったら、なんといいましょう。もう、少し遠目に見れば畝も怪しいのですよ。陽炎のせいでしょうか。
畑に行けば少々の腹ごしらえは出来るものですから呑気なものです。夕焼けを背にしたカラスも、それはそれは可愛いもので。
「七つの子」でしたか、全くもって、そういう風情で。カラスの鳴き声が、父上の怒声の時間を告げてくれるわけです。

母君ときた日には、毎日、泥まみれで胸を張る我が子を前に叱る気力も失せる始末です。「こんなに元気で、嬉しいでしょう?」
そう言われては小言を言う気力も失せましょう。まぁ、子供というのはいつの時代もそんなもので御座いましょうよ。叱られぬ智恵だけは真っ先に身につけるものです。

やはり教育というのが大切だと想ったのでしょうねぇ。
もっとも、算盤に行って覚えているのは算盤の独特の臭いばかりでして、未だに暗算など出来る方を拝見しますと、それはそれは素晴らしいことだと感心致します。
お習字の方も、勘違いしたのかなにか。書く場所は顔と思い込んでるような有様で、上品な初老の女性の手ほどきでしたが、大変な迷惑をかけたことと、今では申し訳ないとも言えませぬが。

そんな日々を送ってはおりましたが、これでも幼少の頃には可愛がって頂いたものです。そうお笑いになられても、臆面もなく自慢出来る時はあなたにも参りましょう。

近くに中学校が御座いましてね、子供の足でも歩いて10分とかからぬのです。結構な人気者でありましたが、中でも随分とかあいがって頂いていた女学生がおりました。
子供心にも美醜は考えるもんです。仲間に冷やかされた日には敵いませんからね。長い髪の優しい輪郭に整った目鼻立ちに恵まれた、評判の娘さんでした。
悪友と一緒にいると、一人呼ばれては菓子など頂戴したりして。まぁ自慢といえば自慢ですが、お聞き流し下さいな。