一億光年の氷光

2006年07月06日

極点の炎

極北の天はほむら駆け巡るという
まさにそのとき、極南の天にも炎は荒れ狂うという続き、こちらにおります

2006年06月23日

天川

満月浮かぶ 濃紺に霞川
笹舟 浮かべて乗りましょう
続き、こちらにおります

2006年02月28日

蒼穹の刃

確かに嵐は、月のせいじゃない

それでも右の指先を陽の方に伸ばすと、
急速に鋭くなったやいばは未だ深き闇高く、
それは高くに切り込むのさ続き、こちらにおります

2006年02月16日

散り、散り

足音を忍ばせてトイレに向う途中
 静かに静かに周囲を暖めるランプがポツンと

裸電球を安っぽい薄紫のガラスで包み
 どこの工場で量産されたものだろう続き、こちらにおります

2006年01月22日

久方の厚い雲は 冷を得て生き生きと蠢いている
それほどに待ち切れないほどだったのか 白粉をバラ撒くことが

 雲ノ役目ナド考エタコトモナイ

そんな矮小な奴等を振り向かせんがために
忌まわしいが助っ人を呼んだのかよ

流々いずれは千切れ失せる身も証は欲しいのか?

今、お前はいない
お前の嫌う彼の人の光臨だ

しかし

お前の白粉は お前の嫌う彼の人の恵みの中で
確かに鮮やかに生き生きとしてすら見えるのだよ

今のお前が何処かは知らぬが

確かにお前が存在(ゐ)たはずなのに

そんなことは忘れられて眩さの中に埋もれ始めつつ

2004年12月31日

雪、陽熱の。

陽熱に慈しまれて一色の。
ブ厚く歪なグレーの塊となって。
 ギュボッ ギュボッ

争い期せずも争い、向い来る。
もどかしさに先行かんと向い来る。
今更ながら遥かな天空への辿道を
かくもノンビリと戻るのはもどかしく。

お前はあちらへ、私はこちらへ
舞うロンドに急きながら。
 ドルッ ドルッド ドルドルドルルッ

掌に舞い落ちるので見んとすれば姿なく。
陽熱を込めた結晶を誇る間もなく。
化石を掘り起させるために?

同じく陽熱に育てられたではないか?
恨めしげにユクリと結晶を解き、
ダラリとグラスにへばり付き垂れて。

お前の役割は終わったと次の者が。
お前の役割も終わったと次の者が。
呼応する空気に潜む仲間がグラスに息を吐きかけ、
せめても消え跡位は残せぬものかと思案気に試みる。

煙ぶる野畑はすでに陽熱に愛された者同志、
戸惑いに僅かの仲間を消したれども
次々と犯されて初めて我を取り戻して一色に。
陽熱の慈しみを分け合い語らい始め。

全てを凍てつかせる、あの陽熱を忘れた者は
恐怖に駆られて陽熱の残骸を醜く集め。
天陽の使者を見ること死神の如く凍え縮み。

遠き記憶に一色となって分かち合う喜びを忘れ。
透明な鈍き一色の輝きを茫洋と眺めながら、
煙ぶる中に幻陽を灯して誤魔化しているのだ。
 シン、シンシン

今や天上に昇るに要したエアーも道を譲り、
さらにスピィードを増して集うのだ。

自らの屍に自らを重ね合わせ。
陽熱の子としての記憶を確かめながら。

ただ一色に、一つになって歌うのだ。
君を待つと静かに儚く歌うのだ。

2004年12月25日

醜悪賛歌

「分け入った先の聡明」に寄せて

想ひ出すことはなかろうか
勇気を奮って見たれども、見たれども醜悪な
生臭き吐息もて涎を垂らしてジと我を見据える醜悪な

俺を見ろと迫る 奇怪な声に怯へ震ゑ
遠き劫火に焼け爛れて喘ぐ声に耳塞ぎ
せめてもの我を保たむてふ勇気を萎えさせ轟かむ

いつの間に巣食ったかも知れず
怒りを携えた真っ赤な眼に嘘をつくな
さふ言っているてふは気のせいか?

確かに今の私は お前よりも美しい
といへども美しいフリをしているのは私の所為ではない
決して私の所為などではないのだ

哀願しても無表情なままに大口は喰らわむと
その大口のむかふに見えた気がすは何ぞ
美しき賛歌の響きは何ぞ

嗚呼、あなたは草葉の隣の大奥様ではありませぬか?
嗚呼、あなたは草葉の角の旦那様ではありませぬか?

大口のむかふで 皆が笑って手迎へされている
いや来るな、と手振りされている

このままにいて宜しいのでせうか
私はまだ このままにいて宜しいのでせうか

答えなぞないのは とうに分かってはいても
時折はお訊ねしたくなるのです

私は このままにいて宜しいのでせうか

2004年12月22日

凍てつく炎

釘立たぬとも 遥か先には地面もあろう
厚い氷に閉ざされて 静かに地面は生きている
地軸のウネリを響かせながら
氷結したマグマの子孫ながらの凛々しさで

薄曇に見えずとも 遥か先には星が瞬く
真空の中で 静かに星は瞬いている
宇宙軸を大きく駆け巡りながら
マイナス千度で激しく炎を立てながら

君は嘆く、君は歓声を上げ、時に歌う、踊る
せめて目一杯の優しさを込めて見つめるしかない
瞳はいつも、凍てついたまま真空に漂っている

2004年12月18日

幻光

背中を突き上げる底深いチカラに目が覚めると、全身の力が抜けたままの男は、黙って知らず向かう先に想いを馳せる。
その光景を描写すれば、おぞましいホラー映画で呪いのままに宙に浮く姿になろうか。
物体としての役割を疾うに放棄した天井は、浮く身を留めることもない。

むさ苦しい喧騒は下へ下へと遠く降り去っていく替わりに、耳内は寒い高音で唸らんばかり。
向かう先はと宙を見遣れども、そこにあるのは漆黒や青やオレンジや、空の色を構成するに足る色を塗りたくっただけの空間とすら言えるのか。

やがて徐々に戻った体の感覚を頼りに息すれば、透いた空気は気管を通過し、どこまでも肺奥に吸い込まれ続け。
今まで吸わされていた空気とは一体なんだったのかと、想い出すのも吐き気がするような心持ちにもなる。
ただ、ひたすらに吸い続ければ、いさや肺になど空気は入っておらず、ただスースーと我が身に入り行くのみ。

やがてユタリと動作を想い出した体は、右へ、あるいは左へ回り始め。
周囲を見ればケッタイな空色が目くるめくばかりで、回転しているらしい感覚が回転してる自覚を生んでいるだけで回転していると想っている。
寒き高音に痛んでいたはずの耳などは、穏やかな無限音に柔らかく包まれ耳としての役割を放棄して蕩けるまま。

空色の只中で、ひたすらに空気を取り入れながら回転しているツモリになっていたら、どうしようもなく強烈な光が四方八方に遠く去り行くのに気付き、ハタと見れば体と言えるようなものは既にない。
自分と想っていた場所は、ただただ力強く眩く光っていたのだった。

2004年12月07日

遠吠え

濃紺に喘ぐ北海に照らされて 真っ赤になった月が
ひしゃげた顔を山からノッソリと突き出した
続き、こちらにおります