2006年07月03日

ライオン・キング

現役を退いて数年の父は、母のキツイ言葉にも柳に風と成り行くことも多くなり。
それでは済まぬのか「・・・ねぇ?」と息子に振られても困る。
「夫婦のことは子供でも分かりません。
 故に私目の意見は控えさせて頂きます。」
と早々に退散するばかりである。

その母が軽い慢性病の施療のために暫し入院と相成り、いそいそと荷物持ちをする父の背は、むしろ大きく感じられる気がした。

我が女房はといえば、かように昼前から飯のタネにもならぬ駄文を書いている不良亭主を省みもせず、
十年を超える、かねてからの念願の給食センターへ。
残るは授業参観の振替で休みの次女と私のみである。
静かなものである。

と、あまりに静か過ぎるのも奇妙と感じて階下を覗きにいくと、
娘は定位置の祖母のベッド上で帰りくる女房に甘える準備かと、よく眠っておる。
見れば掌に乗るようなライオンのヌイグルミを胸に抱いている。
鼻をつつくとニヤニヤするところを見ると、なにやら佳き夢中にいるらしい。
胸中のライオンのタテガミに小さな唇を寄せ、何を夢見ているのやら。

子供の安堵した寝顔は世の宝、かもしれぬ。
大人のそれは、だらしない、と言うに相応しかろう。

さてさて彼女の胸中にも、いつぞやライオン・キングが登場するのでありましょう。
いかなるキングを連れ来るのか?
いまはまだ淡い光の中に見えずとも、その日こそ、私もまたライオン・キングとして雄々しくあるべきなのか。

老兵は死なず、といいますが。

ライオンは静かに、しかし、いよいよ気高く年老い、去っていく。

そんなのも良いのではないか、と想うのです。

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