2006年07月02日

交わらぬ女体と男体

「男は女の道具だ」なる題にて書いた有名な小説家がいた。
そういう見方も出来る。
し、センセーショナルでもあり、
題を見、斜め読みしたのみながら巧く書いたものだとは想ったが、
あまりに実感に遠く、苦笑いするしかなかった。

男にとっての女性、さらには女体の在り方は至極、妖魔変化のようなものである。
そして逆もまた。
「女は遊びの道具」と評してやまず女遊びの限りを尽くす人、女性に抱かれることに喜びを見出し安らぐ人・・・
このような類型の方々は種々、多く知ってはいるし気持ちも分からなくもない。
特にエロティシズムに深く沈潜するのは、人として、むしろ健全なのかも知れぬ。

が、それらとは一線を画す女体感が大きく聳えているのも確かだ。

そのような女体感を抱く男性の多くは、想像するに酷く遅漏か早漏である。
深く精神的な交わりを求めている、というのとも少し違う。

言葉にするのは難しいが、女性に興味などないのに、生理現象は生起する、と言ったようなものであろうか・・・
いや、女性に興味がない、というのも違うかもしれない。
理解を超える、不可解な女性という存在に畏怖している、と言ったほうが良いのかも知れぬ。

その畏怖が安堵を奪い、最後の悦楽に至るに甚く時間を要するのである。
または、全くの逆に生理感覚だけが先行し、迅く果ててしまうのである。

面白いのは、真逆まぎゃくのような存在が、女性にも、またある、ということである。
女性は須く魔性を秘めている、などというのは嘘である。
ドンファン的男性は、そのような女性に手出しすることはない。
彼らにとって、そのような女性は女性ではない。

厄介な話になることがあるのは、この先である。
そういった男女性は、己が畏怖している、などという自覚を持っていること自体がないのである。
むしろ、それを超克している、と強く想っていることが多い。
何ゆえに、そのような想いを持つに至るものなのか・・・
少しく不思議ではあるが、彼らにとって、この世の全ては己が内においては己に屈して存在するのが当然であるかのような言辞を見ることが多い。

かつて私を可愛がってくれた、少し年長の女性が、そのような人であった。
私が聞いたことがある。
「セックスの時、目を開けているでしょう?」
いつもは落ち着いた答えを返す彼女は、少なからず驚いて答えた。
「開けてるけど・・・なんで分かった??」
分からいでか、と答え掛けた口は、噤んだ。
その先に厄介な話が待っていることは、既に承知していたからだ。

だが、それら一連の事柄は大層に見えて、いとも崩れ易いものでもある。
だが、その畏怖に気付く端緒は人それぞれだ。

畏怖を超克しさえすれば、そこには生成りの性欲が、まずは残る。
その性欲が、いかなる様相を呈するかは、次の話、となるものだ。

それでも、女体と男体、それぞれが、それぞれの裡に夢見て悦楽に浸るのは、ほぼ間違いないようである。
二人は永遠に交わらない。
永遠に交わらないからこそ、交わろうと躍起になって永遠に飽きない。

本当に交わった二人に訪れるもの・・・
今の私に想い付くのは、陳腐ではあるが、それは死臭である。

あるいは先に死臭を嗅ぎ付ける・・・そんな人々も、あるやもしれない。



さて、では、お前は如何に?

私目といえば、愛し女房に尻轢かれつつも平凡に抱き合い、やりもせぬ悦楽の不倫を夢見る中年オヤジで御座います。
まこと女性にょしょうは味深きものであります。



参考)
女体に、美を絡めるということ;吉行淳之介
拝啓 畏敬のひと、風さまへ。

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この記事へのコメント

1. Posted by 綾見由宇也   2006年07月02日 22:11
「まこと女性(にょしょう)は味深きものであります。」
・・・(笑)、まっく節炸裂!!といった風情がありますね。困ったことに、奴、丈がなんやかやと私を揶揄致しておるらしく、ほんに困ったものです。ちょいと諌ねばなりますまいね。ほんに困った。

「それでも、女体と男体、それぞれが、それぞれの裡に夢見て悦楽に浸るのは、ほぼ間違いないようである。
二人は永遠に交わらない。永遠に交わらないからこそ、交わろうと躍起になって永遠に飽きない。」
 世の腐れ縁と申すものはこの類いかと。心地良く、そして深く、読ませていただきました。まっくさま、有難うございます。綾見由宇也
2. Posted by まっく   2006年07月03日 10:42
綾見さま、こんにちは。

>困ったことに、奴、丈がなんやかやと私を揶揄致しておるらしく、ほんに困ったものです。ちょいと諌ねばなりますまいね。ほんに困った。

いえいえ、畏敬のお気持ち、甚く眩いばかりで羨ましい限りです。私もまた、困った奴といわれる位に努めねばならぬか、と(笑)。

実は、この文を書く前、7/1に、主題に据えたような畏友の結婚の報が入りまして。
奴さんが、如何なる面持ちにて式を迎えるか、今から楽しみにしておるところです。
我ながら嫌な奴です。

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