2005年01月16日

春、朧に猛り(1)

それはそれは蒸し暑い日でした。
今では考えられもせぬかもしれませぬが、そのような夏の日が、昔の日本にはあったのです。

周囲の田圃と言ったら、なんといいましょう。もう、少し遠目に見れば畝も怪しいのですよ。陽炎のせいでしょうか。
畑に行けば少々の腹ごしらえは出来るものですから呑気なものです。夕焼けを背にしたカラスも、それはそれは可愛いもので。
「七つの子」でしたか、全くもって、そういう風情で。カラスの鳴き声が、父上の怒声の時間を告げてくれるわけです。

母君ときた日には、毎日、泥まみれで胸を張る我が子を前に叱る気力も失せる始末です。「こんなに元気で、嬉しいでしょう?」
そう言われては小言を言う気力も失せましょう。まぁ、子供というのはいつの時代もそんなもので御座いましょうよ。叱られぬ智恵だけは真っ先に身につけるものです。

やはり教育というのが大切だと想ったのでしょうねぇ。
もっとも、算盤に行って覚えているのは算盤の独特の臭いばかりでして、未だに暗算など出来る方を拝見しますと、それはそれは素晴らしいことだと感心致します。
お習字の方も、勘違いしたのかなにか。書く場所は顔と思い込んでるような有様で、上品な初老の女性の手ほどきでしたが、大変な迷惑をかけたことと、今では申し訳ないとも言えませぬが。

そんな日々を送ってはおりましたが、これでも幼少の頃には可愛がって頂いたものです。そうお笑いになられても、臆面もなく自慢出来る時はあなたにも参りましょう。

近くに中学校が御座いましてね、子供の足でも歩いて10分とかからぬのです。結構な人気者でありましたが、中でも随分とかあいがって頂いていた女学生がおりました。
子供心にも美醜は考えるもんです。仲間に冷やかされた日には敵いませんからね。長い髪の優しい輪郭に整った目鼻立ちに恵まれた、評判の娘さんでした。
悪友と一緒にいると、一人呼ばれては菓子など頂戴したりして。まぁ自慢といえば自慢ですが、お聞き流し下さいな。

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この記事へのコメント

1. Posted by 風 薫   2005年01月17日 22:20
読ませていただきました。是非、このあとをお暇な折に結構です。お書きください。拝見させていただきます。風でした。

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