2004年12月01日

管を巻くよな脆い硝子の優しさヨ

昨晩、風さんが中也に触れた文に触れ、久し振りに読んでしまった。
といえば、いつもの通り、またショックを受けて仕事もロクせず寝込んでおりました。

中也を読んでは詩めいたものを書く気力さえ萎え。
誠に困った御仁で御座います。
せめて、寝込んでも生きるに困らない仕事に就くに至った僥倖を喜ぶか。


中也を思うと、いつも想い出す。
アル中で家族中に迷惑をかけていた伯父である。
布団に潜り込んでいる私をまたぎ、飛び掛らんの勢いで父と激論した夜々が、今でも鮮明に記憶に残る。

何故か私は伯父に大変に可愛がられ、優しい伯父しか知らない。
いや、見えなかったというが相応しいだろうか。
後年、実兄を語って、母はこのようなことを言ったものだ。

「生きるには不器用な優しさを持つ人だったのね。
 お酒さえなかったらとは思うけれど。
 でも基本的に怠け者だったのよ。」

最後は離婚し妻子に見離され、一人で亡くなった。
火燵に入ったまま、合掌姿で変色していたという。
「変死」であるが、何かの拍子に心臓麻痺を起こしたらしい。
欲赴くままに業を燃やし尽くしたとては、不釣合いな大往生である。

中也と出会ったのは何歳頃であったろうか。
読むだに伯父を想い起こすのは、他の違いを飛び越えて両者に感じた「管を巻くよな脆い硝子の優しさ」故であろう。

風さんの
「どこかで多分、想い出というものはやっぱり、この今の自分を癒してくれる、そんな奴なのかもしれないと想う」
という一節に、中也に魅かれる者は、同じ優しさを見取っているのかとフト思う。

汚れつちまつた悲しみに
なすところもなく日は暮れる

為念、
最後の一文は中原中也で御座います

まっく記 at 20:15 記事全文
コメント(3)TrackBack(0)
siteki想論 

トラックバックURL

この記事へのコメント

1. Posted by 風 薫   2004年12月03日 19:42
風です。すみません。まっくさんの文を読んでぐらり、きました。我が父も、大変なのんべぇで、酒乱でした。母は、生前、よく、こう言っていました。「酒さえなかったらねぇ。お父さんは、誰にも負けない頭のいいひとなのにねぇ」確かに私が逆立ちしてもかなわないほどの博識でした。いつも酒を飲んでいるか、誰かを殴っているか、ただ静かに本を読んでいるか、人生に不器用、出世を望まなかった人なので、なおのこと哀れに、今、想います。現在、父は、もう5年ほど、病院生活者です。酒の悪癖が祟って、脳内出血で倒れ、僕の看病下にあります。子供の頃は、大嫌いな親父でしたが、今はただただ、長生きしてほしいと願っております。生気の無い父の顔を見ていると、泣きたくなるときもありますが、けれど恨み言など、露、ありません。この父がいたからこそ、我が居る。私にとってかけがえのない父です。
2. Posted by まっく   2004年12月04日 23:26
こんばんは。
酒を飲むしかない人生もあるんですよね、きっと。

それが一晩で済むか、幾晩も、いや幾日も続くかの違い。
そんなものがあるのなら、きっと此の世に酒なんかない。

御尊父、私の伯父の一杯、一杯に込められたもの。
それは、私たちも共有させて頂いているモノだと、私は想うのです。
いえ、そう想いたいのです。

御尊父様の御大事を。
3. Posted by 風 薫   2004年12月05日 00:21
御尊父様の御大事を。

まっくさん、その心根に、深く謝辞たいと想います。「どうも有難うございます」 風より

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔